研究課題
本年度は、HOXA9の細胞内局在制御について、その上流にあたるシグナル伝達経路にスポットをあて、研究を進めた。我々は、これまでに造血系サイトカインであるThrombopoietin(TPO)が、ヒト白血病細胞株UT-7/TPOにおいて、HOXA9の核内移行を誘導すること、またその過程にはMAPKの活性化が必要であることを報告した(Kirito,K et al. Mol.Cell.Biol.2004)。しかし、MAPKがどのようにしてこの過程を制御しているのかについては不明であった。HOXA9はTPO刺激後、ホメオドメイン蛋白の一つであるMEIS1(myeloid ecotropic viral integration site 1)と複合体を形成すること、およびMEIS1のアミノ酸配列上にはMAPKのリン酸化のターゲットとなるスレオニンープロリン配列が存在することから、MAPKはMEIS1を直接にリン酸化するのではないかとの仮説を立てた。これを検証するために、UT-7/TPO細胞をTPOで刺激した後に、抗リン酸化スレオニンープロリン特異的抗体で免疫沈降を行なった。その結果、TPO刺激後に特異的にMEIS1が免疫沈降されること、またMAPK経路の阻害剤であるPD98059を用いることによりこの現象は抑制されることが分かった。すなわち、MEIS1はMAPKのリン酸化の直接なターゲットであることが確認された。興味深いことに、MEIS1上に存在するスレオニンープロリン配列は、ショウジョウバエのMEIS1のホモログであるhomothroxにおいても保たれており、MEIS1/homothoraxの機能調節に重要な領域であることが示唆された。
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