研究課題/領域番号 |
17659298
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 浩二郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10372434)
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研究分担者 |
高柳 広 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20334229)
朝霧 成挙 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特任助手 (20372435)
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キーワード | 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 免疫学 / 骨代謝 / 骨免疫学 / 転写因子 / 免疫グロブリン様受容体 |
研究概要 |
骨組織は、骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスによって恒常性を維持しており、その制御には免疫系の細胞や制御因子が深く関わっている。骨形成に比べて骨吸収が過剰になると、骨粗鬆症、骨腫瘍(原発性及び転移性)、関節リウマチなどの炎症性骨疾患でみられるような骨量減少をきたす。昨年度申請者らのグループは、immunoreceptor tyrosine-based activation motif(ITAM)を持つアダプター分子であるDAP12及びFcRγが破骨細胞分化に必須であり、免疫受容体と呼ばれる一連の分子群がこれらのアダプター分子を介してシグナルを伝えることが破骨細胞分化に重要であることを世界に先駆けて報告した。免疫受容体とアダプターの複合体は細胞内のCa^<2+>シグナルを活性化し、それがホスファターゼであるカルシニューリン(CN)を活性化する。CNが次に破骨細胞分化に必須の転写因子NFATc1を脱リン酸化し、NFATc1の核移行をもたらすと考えられる。本年度我々は、(1)FcRγをアダプター分子とする免疫受容体OSCARとIgG Fc部分との融合タンパクが破骨細胞分化を抑制する作用を持つこと、(2)OSCARの未知のリガンドが骨芽細胞上に、ビタミンD3及びプロスタグランディンE2の刺激によって誘導されること(3)OSCARがNFATc1によって転写誘導される分子であることを示した。このことからOSCARがNFATc1により誘導され、そのことによりNFATc1の転写活性を更に高める新規のポジティブフィードバックのメカニズムが明らかとなり、またOSCARを介したシグナル伝達系路は構成的ではなく誘導される性質を持っていること、この伝達系路の遮断により破骨細胞分化を調節できる可能性を示した。(主としてJ.Biol.Chem.Vol.280,p32905-にて報告。)
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