研究概要 |
骨組織は、骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスによって恒常性を維持しており、その制御には免疫系の細胞や制御因子が深く関わっている。骨形成に比べて骨吸収が過剰になると、骨粗鬆症、骨腫瘍(原発性及び転移性)、関節リウマチなどの炎症性骨疾患でみられるような骨量減少をきたす。これまで申請者らのグループは、immunoreceptor tyrosine-basedactivation motif(ITAM)を持つアダプター分子であるDAP12及びFcRgが破骨細胞分化に必須であり、免疫受容体と呼ばれる一連の分子群がこれらのアダプター分子を介してシグナルを伝えることが破骨細胞分化に重要であることを世界に先駆けて報告した。更にOSCAR及びTREM2のリガンドの骨芽細胞上に発現する条件及び、OSCAR, TREM2のプロモーター解析を行い報告した。更に最終年度(平成18年度)には、破骨細胞分化を促進するヘルパーT細胞として、従来のTh1/Th2サブセットとは異なるIl-17産生性サブセットを同定し報告した。このサブセットはIL-23,抗IFN-y,抗IL-4抗体存在下でCD4陽性T細胞を刺激することで分化させることができ、現在Th17細胞と呼ばれるようになっている。IL-17は破骨細胞前駆細胞に直接作用するのではなく、骨芽細胞に作用して間接的に破骨細胞分化を促進する。実際IL-17やIL-23欠損マウスではin vivoの骨破壊モデルで破骨細胞数が減少しており骨破壊も軽度であった。従ってIL-23,IL-17は関節リウマチに見られる骨破壊の防止において重要なターゲット分子の候補であると考えられた。
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