研究課題/領域番号 |
17659309
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
久間木 悟 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (20311566)
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研究分担者 |
土屋 滋 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30124605)
笹原 洋二 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (60372314)
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キーワード | 遺伝子治療 / 重症複合免疫不全症 / X-SCID / γc鎖 / キメラ二重鎖切断酵素 |
研究概要 |
X連鎖重症複合免疫不全症は先天的にT細胞及びNK細胞が欠損し、B細胞も抗体産生できず、重篤な感染症のために乳児期に死亡する致死的疾患である。このため骨髄移植を施行されるが、HLA一致同胞が存在しない場合の予後は不良で、これらの患者を対象に遺伝子治療が開始された。しかし、フランスで遺伝子治療を受けた10例のうち3例でレトロウイルスベクターの挿入変異による白血病が発症した。この副作用を克服する方法の一つとして生体内に備わった遺伝子相同組み換えを利用する方法があげられる。しかし、組み換え効率は極めて低く約100万個の細胞に1個の割合である。一方で、二重鎖DNAが切断された部位で組み換え効率が上がることがわかった。それらの応用として、目的とする遺伝子をZnフィンガーで認識させ、非特異的二重鎖切断酵素で切断し、組み換えを促進する方法が考えられる。コンピューター解析でγc鎖遺伝子にはエクソン5にZnフィンガー結合可能領域TCC___TGC___CTC___ACAGGAG___CTG___TTG___TGが存在することを見いだした。この配列はエクソン5にあることから、遺伝子組み換え効率を確認するにはまず、エクソン5に変異を持つ患者さんの細胞を用いて実験することが望ましい。このため我々がこれまでに解析した41家系のXSCID患者のうちエクソン5に変異を持つ患者の末梢血単核球細胞からEBウイルスでB細胞株を樹立した。目的の遺伝子を認識させる方法として特定の遺伝子領域に結合するZnフィンガーを発現するプラスミド作成を試みたが、うまくいかないため、今年度途中に同様の実験で成果を上げたと報告のあった米国加州SangamoのMichael Holmes博士と連絡をとり現在研究を進めている。今後このエクソン5に結合するZnフィンガーキメラ二重鎖切断酵素でどの範囲まで遺伝子修復が可能であるか患者細胞を用い実証する予定である。
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