研究概要 |
【研究目的】 本研究の目的は、自閉症の発症メカニズムをエピジェネティクス機構の破綻と定義し、その脳病態を明らかにすべく「MeCP2異常に起因する脳細胞の異常」と「MeCP2蛋白機能不全による異常発現遺伝子」を具体的に明らかにすることである.初年度は「(1)MeCP2蛋白の局在変化メカニズム、(2)MeCP2発現低下時の神経細胞ならびに神経膠細胞(グリア細胞)の機能異常」を明らかにする. 【初年度(H17年度)の研究成果】 1.MeCP2蛋白の局在変化メカニズム 従来核に局在していることが知られていたMeCP2蛋白が神経培養細胞においては、細胞質にも存在することを見い出し、MeCP2の核と細胞質間の移動に、MeCP2蛋白質の各種修飾が関係しうることを見い出した(論文投稿中). 2.MeCP2発現低下時の神経細胞ならびに神経膠細胞の機能異常 MeCP2の遺伝子発現調節異常が神経膠細胞に生ずると、細胞増殖が低下することを明らかにし報告した(Nagai et al.,Dev Brain Res 2005).このMeCP2低下に起因する神経膠細胞機能不全が本症患者の神経病態の一端を担っていると考えられた. 【次年度(H18年度)の課題】 1.MeCP2蛋白のグリア細胞不全による症状発現メカニズムを解明する.具体的には、グリア細胞特異的MeCP2遺伝子欠失マウスを作製し、小頭症状や自閉症状の出現の有無を明らかにする. 2.MeCP2の蛋白質修飾に関する知見をさらに確固たるものにする.具体的には、MeCP2蛋白のリン酸化部位を特定する.
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