末梢血単球をGM-CSFとIL-4の存在下で培養することにより樹状細胞を分化誘導した。この樹状細胞に麻疹ワクチン株(NAGAHATA株)を感染させ、紫外線照射によりウイルスを不活化した後、別に準備した自己樹状細胞に貧食させることにより、抗麻疹樹状細胞ワクチン(MV-DCワクチン)を作成した。このMV-DCワクチンがin vitroで自己T細胞のIFN-g産生、即ち、抗麻疹免疫を誘導することを、ELISPOT法を用いて確認した。さらに、造血細胞移植後の患者から作成したMV-DCワクチンが、in vitroで自己T細胞による抗麻疹免疫を効果的に誘導することを証明した。以上の結果はTrapsplantation(2006)vol.82に掲載された。 現在、本MV-DCワクチンを臨床応用可能なフォーマットに改良している。まず、培養皿に付着する細胞(単球)をGMP-gradeのGM-CSFとIL-4を含む無血清培地で培養し、樹状細胞を分化誘導した。麻疹ウイルスは現在本邦で広く使用されているCAM株を、阪大微生物病研究所から提供を受け、使用した。これらを用いて作成したMV-DCワクチンがin vitroで抗麻疹免疫を誘導することを確認した。現在、本フォーマットのMV-DCワクチンが麻疹ウイルスの感染性を有しないことを、Cytopathic effectを測定することにより確認している。また、本ワクチンの臨床応用には倫理委員会の承認が必須であるため、現在、プロトコールなどの倫理委員会への提出書類を作成している。
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