研究課題/領域番号 |
17659325
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
中川 栄二 国立精神・神経センター, 武蔵病院・小児神経科, 医長 (70333002)
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研究分担者 |
小林 厳 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (90305300)
奥住 秀之 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (70280774)
大江 啓賢 国立精神・神経センター, 武蔵病院・心理指導部, 指導員 (40415584)
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キーワード | 重症心身障害児(者) / 難治性てんかん / 重度精神運動発達遅滞 / 視覚認知機能 / てんかん外科治療 |
研究概要 |
【背景と目的】てんかん治療の目的は発作抑制と同時に精神運動発達の改善である。難治性てんかんを伴った重度精神運動発達遅滞児に対する治療前後における微細な発達の変化・改善を視覚認知行動レベルから総合的に評価したので報告する。 【対象と方法】本発達評価に同意の得られた乳幼児を対象とし、視覚認知機能を以下のアセスメントを用いて評価した。(1)Teller Acuity Cards (TAC)を用いたPL (Preferential Looking)法による視力評価 (2)視運動性眼振(OKN)による視力評価 (3)The STYCAR vision testsを用いた視力・認知評価 (4)Erhardt Developmental Vision Assessment (EDVA)を用いた視覚行動観察評価 (5)マジカルプラネット(光点滅刺激)を用いた追視反応による視覚評価 (6)視覚誘発電位、網膜電位による電気生理学的視覚評価 (7)頭部画像検査による形態学的・機能的評価。以上の結果から総合的に視覚機能を評価し発達評価を行った。 【結果】難治性てんかんを伴った重度精神運動発達遅滞児14名(年齢:3ヵ月〜2歳、男児7名、女児7名)を検討した。5名は大脳皮質形成異常のため外科的治療を施行し手術前後の発達変化を検討した。その他、急性脳炎後遺症、染色体異常、潜因性難治性てんかん等は抗痙攣剤調整時での評価を施行した。PL法、OKN、STYCARのいずれかで視力評価が可能であり、EDVAや光点滅による追視、注視、視覚定位反応の改善が治療前後で認められた。 【結論】抗痙攣剤の調整や外科的治療により痙攣コントロールが良好になった際の重度精神運動発達遅滞児の客観的な発達評価として行動レベルから見た視覚認知機能評価は、特に微細な精神発達変化の評価指標として有用である。
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