ステロイド、メトトレキセートなどを用いた治療の効果によって外来フォロー中の若年発症サルコイドーシス患者の病勢が落ち着いたことから、患者末梢血を用いた検討は困難となった。このため、ヒト単球性白血病細胞株であるTHP-1を用いてNod2変異体を作成し、vitroでの解析システムを構築することを試みた。具体的には、C末端にFLAGタグを付けた正常型human Nod2、患者に見られたR334W、N670K、A612T変異を導入した変異型Nod2をpCMV-IRES-EGFPベクターに組み込んだプラスミドをAMAXA Nucleofector systemを用いてTHP-1細胞に導入し、FACSでGFPの発現をチェックすることで安定変異株をスクリーニングした。さらにNod2の発現レベルをRT-PCR、Western blotで確認しPCR産物の配列決定により変異遺伝子の発現を確認した。これらの細胞は、いずれも通常培地を使った培養ではNF-κBの活性化、サイトカインの産生を認めないが、PMAで刺激すると、変異株で有意なIL-8の産生亢進を認めた。しかし、当初予想されたTNFα、IL-1β、IL-12の産生亢進は認めなかった。また意外なことにIL-10の産生亢進も認めた。現在、患者の病変部皮膚組織切片の免疫染色により、生体内でも同様の反応が起こっているのか検討するとともに、変異株の数を増やし、結果の信頼性について検討を重ねている。 今後、これらの細胞を用いて、アポトーシスシグナルの異常に関して解析を進めていく予定である。
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