研究概要 |
昨年に引き続き、若年発症サルコイドーシス(EOS)に認められる変異NOD2遺伝子を組み込んだヒト単球性細胞株THP-1の変異体を用い、解析をすすめた。当初、THP-1変異体をPMAで刺激しマクロファージ様に分化させた時のIL-8とIL-10の産生能が、293細胞に変異遺伝子を一過性に発現させた時のNF-kB活性化能の強さと相関するように思われたが、この時のNF-kB活性化を染色で明らかにすることはできなかった。実験によるばらつきが大きく、培養により導入NOD2遺伝子の発現が低下するためか、あるいは変異体の増殖能が悪いためか、シークエンスで確認すると、当初ほとんど変異遺伝子しか発現されていなかった変異体においても,正常NOD2の発現が強く見られるようになり、変異体による差が見えにくい状況であった。そこで改めてTHP-1への一過性遺伝子発現を試みたが、高発現を得ることはできなかった。一方、EOS患者組織を用い、IL-8とIL-10の染色を試みたが、特異的な染色を得ることはできなかった。TUNEL法では、類上皮細胞は染まらず、浸潤細胞が染まることから、マクロファージ/類上皮細胞に発現する変異NOD2からのシグナルにより、類上皮細胞ではアポトーシスが阻害され、逆にT細胞にアポトーシスが誘導されていることが予想された。今後は、通常のサルコイドーシスなど他の肉芽腫との比較も行い、EOSの発症機序を明らかにしていきたい。
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