羊水中にウイルスベクターを注入することで、レポーター遺伝子を持つ遺伝子トラップベクターを毛包上皮細胞の起源となる胎児の外胚葉性上皮細胞に導入し、毛包組織特異的遺伝子を同定するため、トラップベクターの構築と組み換えウイルスの作製、感染実験を行った。昨年、レトロウイルスをベースとする遺伝子トラップベクターの構築を試みたが、感染効率が非常に悪かったため、本年度はレンチウイルスをベースとする遺伝子トラップベクターの構築に取り組んだ。RET gene trap vectorを改変し、293細胞由来のパッケージング細胞に導入したがウイルス産生が確認できなかった。そこで、293-T細胞にレンチウイルスパッケージングプラスミドミックスとともにベクターを導入した。その結果、導入マーカーのEGFPを発現する細胞は得られたものの、培養上清にはウイルスがほとんど放出されていなかった。このため、ベクター構成の確認と構築のやり直し、パッケージングミックスの混合比の検討、導入細胞の検討など、種々の検討実験を重ねたが、トラップ実験に使用可能な組換えウイルスを得ることができなかった。今後、ViraPowerシステムの導入によるウイルス構築の試みとレトロウイルスをベースとしたtrap vectorウイルスの感染効率上昇を目指した投与法の改善の両面から解決を図る。
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