研究課題
昨年度に引き続き、臨床研究を続行した。当院耳鼻科入院中の甲状腺腫瘍摘出手術前ないし経過観察中の患者に対し、エラストグラフィー像撮影をおこない、画像および弾性度のデータの処理・解析はコンピュータシステムを用いて行った。術後の摘出組織に対し実際に腫瘍弾性測定装置を用いて、腫瘍の弾性度を実測し、エラストグラフィにて計測された術前の弾性度と比較し、エラストグラフィによる弾性度測定の正確性を判定した。最終的には後ろ向き検定にて、エラストグラフィ結果と腫瘍良悪性結果の比較を研究責任者(東)が行い、腫瘍弾性度と良悪性度・病理組織学的特徴の関係を検討し、エラストグラフィによる腫瘍良悪性判定能の妥当性を検証した。本年度は特に141個認めた頚部リンパ節結節(悪性60、良性81)の良悪性の鑑別を主として行った。頚部リンパ節転移の鑑別にはリンパ節の弾性度と周囲の頚部正常筋肉組織の弾性度を比較、その比をとる事によって鑑別を行った。「リンパ節の弾性度/周囲の頚部正常筋肉組織の弾性度=1.5以上を悪性」として判定すると、正診度92%、鋭敏度85%、特異度98%で診断可能であった。通常の超音波検査での「リンパ節短径/長径=0.5」を用いた診断での正診度79%、鋭敏度75%、特異度81%と比較し、エラストグラフィの方が有意に正確に診断できた。甲状腺癌主病巣の鑑別診断のみならず。頚部リンパ節転移の鑑別診断でもエラストグラフィによる弾性度診断は有用と考えられた。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件)
Radiology 243・1
ページ: 258-267