近年の神経科学の発展により再生医療や細胞治療の研究が急速に推し進められ、臨床応用まで始められるに至っている。しかしながら、移植細胞の生体内動態を確認し評価するシステムは未だ確立されていないという現状である。様々な手法を用いた移植細胞の生体内動態の確認・評価システム構築の動きが見られるが、本研究では、高感度であり、また、移植細胞組織の生理的状態や機能の評価も可能である、"新規磁気共鳴画像化法による、移植細胞の生体外追跡システムの開発"を提案した。 平成17年度は以下の2つのテーマについて検討を行った。 検討項目1:I磁気共鳴画像化システムの高解像度化への整備 研究代表者の研究グループでは、2003年度から製作を開始したESR・MRI磁気共鳴画像化ステムを保有している。本研究に適した高解像度の画像を撮像するには画像の高解像度化が必要で、より高い磁場勾配を利用できるように、装置の改良を行った。現有装置での磁場勾配より10倍程度増強することが可能であった。 検討項目2:常磁性の磁気標識剤の開発と細胞標識の基礎検討 ESR、MRI両システムで画像化が可能な常磁性剤である、鉄・マンガン・安定ラジカル物質(ナイトロオキシドや第3級炭素化合物など)を用い、神経細胞や免疫細胞を磁気標識し、細胞内への常磁性物質の取り込み、細胞毒性等を検討中である。また、磁気標識した細胞が常磁性物質の造影効果により、ESR・MRI画像化システムで画像として位置的に確認できるか定性的な検討を終え、定量的検討に入ったところである。
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