研究概要 |
本研究は放射能(RI)と蛍光とで二重標識したアンチセンス、または、その類似体のオリゴヌクレオチド(AON)によって、核医学手法と光学的手法とによって得られた融合イメージを用いて、体内にある遺伝子の局在を精確に、非侵襲的に捉える方法を開発することを目的としている。 本年度は、多剤耐性遺伝子のひとつmdrをモデルとして用い、mdrアンチセンスシークエンスを持つAONを放射性核種のTc-99mや蛍光にて標識して、それぞれの生体内での安定性を確認し、目的遺伝子をイメージングするに充分の量だけAONが到達するためのキャリヤー物質を選択する事を計画した。 研究は腫瘍細胞(類上皮癌KB-31にmdrをトランスフェクトしたKB-G2)を用い、さらに、これを植え付けたマウスを用いて遂行した。 1.マウスにTc-99m-AONとキャリヤー物質(jetPEI、Neophectin)の共投与を試みて、生体内分布を評価したところ; (1)投与24-28時間後に腫瘍への集積がjetPEI、Neophectinが存在しない時と比較して(0.12%ID/g)、いずれも0.15%ID/gへわずかに増加した。 (2)正常組織へのTc-99mの分布はjetPEIやNeophectinと共投与することで増加し、また、血液中からのクリアランスは早くなった。 2.Tb-99m-AONとTAT、コレステロール、Poly-Argペプチドをコンジュゲートした結果、いずれの場合も、腫瘍細胞KB-G2への取り込みが増加した。 なお、オリゴヌクレオチドのTc-99m標識に関しては、海外研究協力者である、Donald Hnatowich (Professor, University of Massachusetts)氏の協力と指導を受けた。 今後、上記のTc-99m-AON-TAT、-コレステロール、-Poly-Argをマウスに投与し、その生体内分布を検討すると共に、Tc-99mの替わりに蛍光標識-AONの腫瘍細胞への取り込みも検討する予定である。
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