本研究は放射能(RI)と蛍光とで二重標識したアンチセンス、または、その類似体のオリゴヌクレオチド(AON)によって、核医学手法と光学的手法とによって得られた融合イメージを用いて、体内にある遺伝子の局在を精確に、非侵襲的に捉える方法を開発することを目的としている。〈RI+蛍光〉標識したAONの生体内での安定性を確認し、次に、目的遺伝子をイメージングするに充分の量だけAONが到達するためのキャリアー物質を選択する。核医学手法と光学的手法とを融合させる基本ソフトを完成させ、「遺伝子局在イメージング」の臨床応用への移行を意図している。 実験モデルとしては、多剤耐性を獲得した腫瘍を植え付けたマウスを用い、対象とする遺伝子は多剤耐性に関係している(mdr)をターゲットとした。最終年度は以下のような研究成果を得た。1.mRNAに対してアンチセンスシークエンスをもつオリゴヌクレオチにRIを標識して、これを特異的に腫瘍に集積させるドラッグデザイン(=プラットフォーム)を開発した(特許申請中)。2.上記のドラッグデザイン(Streptavidin:biotin:peptide:AON:Tc-99m)がmdrを過剰発現する腫瘍へin vitro、in vivoの双方において、特異的に集積することを確認した。3.上記のドラッグデザイン(Streptavidtn:biotin:peptide:AON:蛍光)がmdrを過剰発現する腫瘍へin vitro、in vivoの双方において、特異的に集積することを確認した。4.上記のドラッグデザイン(Streptavidin:biotin:peptide:AON:Tc-99m:蛍光)について検討中である。
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