研究課題/領域番号 |
17659388
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三井 秀也 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (00314691)
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研究分担者 |
佐野 俊二 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (50235438)
神吉 和重 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (40397906)
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キーワード | ハエ幼虫 / 創傷の治癒 / 糖尿病性壊疽 / ウジムシ治療 |
研究概要 |
難治性皮膚潰瘍に対し、平成16年より当施設では本邦初の無菌ハエ幼虫を用いた治療を開始した。本年、三井、神吉は当施設において難治性皮膚潰瘍に対するこのウジムシ治療をさらに推進し、その症例数を増やした。その臨床結果は非常に良好で、特に局所感染の制御、患者の傷における創傷の治癒の増進(肉芽の形成)に極めてよい作用のあることが臨床的に証明された(詳細は発表論文参照)。 また本年は、ハエ幼虫の分泌する液を集め(患者の潰瘍におけるぬぐい液とハエ幼虫の解剖時に直接抽出した液の2種類を用いた。)、これらの中に細胞増殖を促す物質が存在するかどうかを検討した。まずfibroblastを通常のように培養し、その培養中に培養液の中にこの2種類の液を注入した。その結果両方の細胞は良好な増殖を示した(細胞数の増加)。しかしながら、培養中に細菌のコンタミネションが著しい場合には、その増殖は妨げられる傾向があった。その為、この実験中における細菌の混入についての検討を現在行っているところである。恐らく、この点が、実際に臨床症例における、治療不応症例の原因となるものと考えている。今後は、このハエ幼虫の分泌する液に含まれる物質、恐らく蛋白質(海外論文においては昆虫ホルモンの可能性もあるとの報告もある。)の抽出、同定を、生物学的、化学的、さらには分子生物学的に検討を行っていきたいと考えている。 また、この液の細菌の増殖阻止作用にも注目し、当大学の細菌学教室とも協力して、このプロジェクトを進めているところである。
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