研究課題/領域番号 |
17659388
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三井 秀也 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (00314691)
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研究分担者 |
佐野 俊二 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (50235438)
神吉 和重 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (40397906)
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キーワード | ウジムシ治療 / 難治性潰瘍 / ハエ幼虫 / 創傷治癒 |
研究概要 |
当大学では、ハエ幼虫(ウジムシ)を難治性潰瘍治療に用いる"maggot debridement therapy"(ウジムシ治療)を日本で初めて導入した. その作用は、大きく以下の3種類に分類される. 1)debridement,2)antibacterial effect3)stimulation of wound healing これらの作用の中で2)抗菌作用に注目した. 抗菌作用の実験に先立ち、当院で行ったウジムシ治療患者から検出された細菌を列挙し、最も検出頻度の高かった、グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌を同定した.同定されたこれらの菌を対象に、実験を行い下記の結果を得た. 1.無菌状態のハエ幼虫の分泌物および体液には、グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌いずれに対しても、抗菌作用は認められなかった. 2.グラム陽性球菌に感染したハエ幼虫体液には、グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌に対する抗菌作用が認められた. 3.グラム陰性桿菌に感染したハエ幼虫体液には、グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌に対する抗菌作用が認められた.しかし、その作用はグラム陽性球菌に感染したものよりも有意に低かった. これらの結果は、「ウジムシ治療は、グラム陽性球菌には強いが、グラム陰性桿菌には弱い」という臨床での現象とも一致する.感染により、抗菌作用物質がハエ幼虫体内に誘導されたと判断した.4.ショウジョウバエでは、抗菌ペプチドの存在が証明されている.同様の抗菌ペプチドが存在する可能性が高いと考え、細菌感染させたハエ幼虫からmRNAを抽出し、RT-PCRを行ったが、同定するには至らなかった。
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