研究概要 |
2系統のトランスジェニックマウスを得た。A系統のマウスはトランスジーンを1倍体当たり11コピーもち、B系統のマウスは1倍体当たりトランスジーンを4コピーもっていた. Rb蛋白を肝臓に大量に発現するトランスジェニックマウスではアポトーシスを誘導する抗Fas抗体やTNFα投与時におこる劇症肝炎が起こらないことが判明した。A系統、B系統のマウス肝臓および野生型マウス肝臓より肝臓抽出液を調製し、SDS-アクリルアミドゲル電気泳動で蛋白を分離した後、各種抗体を用いてウエスタンブロット法にて、関連蛋白質の変化を検討した。アポトーシス蛋白であるカスペース1,カスペース3,や増殖関連蛋白p53,E2F1,E2F2,E2F3,E2F4,E2F5などに変化がなかった。アポトーシスに関わるBcl2,Bcl-XL, Bcl-XS, Bad, Bidにも変化がなかったが、アポトーシス促進に働くBax蛋白がトランスジェニックマウス肝臓では野生型マウス肝臓に比して、著名に減少していることとが判明した。このことは、Rbトランスジェニックマウスでは、アポトーシス促進作用のあるBaxが著減しているため、全体として抗アポトーシス状態を呈していることが明らかになった。 次に、このトランスジェニックマウスが化学発癌抵抗性を示すかどうかを検討した。化学発癌にはRbトランスジェニックマウス雌とC3H雄のF1(遺伝的背景:B6C3F1)を用いた。生後6週齢のマウスにジエチルニトロソアミンを腹腔内投与し、1週後からフェノバルビタール含有水を35週継続飲水させる。コントロールマウス、Rbトランスジェニックマウス肝臓の病理標本を作製し、腫瘍性病変の性質、悪性度、頻度を検討する予定である。
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