非致死量の低濃度lipopolysaccharide(LPS)に暴露したmonocyte/macrophageが、二次的な致死量の高濃度LPSの暴露に対し低反応性を示すことをendotoxin tolerance(ET)という。本研究ではET獲得個体からの臓器移植後の免疫応答を解析し、以下の結果を得た。 1)ET誘導に最も有効なLPS濃度と投与プロトコールの検討 低濃度LPS(20μg/body)投与後に高濃度LPS(200μg/body)を投与したC57BL/6マウスの心臓をBalb/cマウスに移植した場合、生着期間の有意な延長を認めた。 2)ET誘導マウスにおけるdendritic cell(DC)の抗原提示能の解析: ET誘導C57BL/6マウスの脾臓から採取したDCの細胞表面マーカーを解析した。無治療マウスに比べCD11c^<int>CD11b^+ myeloid DCはclass II、CD40、CD80、CD86、FasLの発現が増強し、CD11c^+CD11b^- lymphoid DCはclass II、CD40の発現が減弱していた。FACSAriaを用いたソーティングによりCD11c^+CD11b^+ myeloid DCとCD11c^+CD11b^- lymphoid DCに分離した後にリンパ球混合試験を行い、いずれのDC集団が免疫抑制に影響しているかを解析した。ETマウス脾細胞のmyeloid DCをstimulatorにした場合、IFN-γ、IL-4の産生量が増加していることがELISpot assayによって確認できた。しかし、ETマウス脾細胞のlymphoid DCをstimulatorにした場合にはこれらのサイトカインの産生が抑制されていた。Endotoxinの影響によりmyeloid DCは抗原提示能が増強するが、lymphoid DCは抑制されることが明らかとなった。
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