研究課題/領域番号 |
17659426
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
小川 純一 秋田大学, 医学部, 教授 (20112774)
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研究分担者 |
齋藤 元 秋田大学, 医学部, 講師 (20323149)
丸山 起誉幸 秋田大学, 医学部, 助手 (80361228)
水戸部 一孝 秋田大学, 工学資源部, 講師 (60282159)
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キーワード | 温熱療法 / 悪性腫瘍 / 感温性磁性体 / キュリー点 |
研究概要 |
背景:手術不能進行肺癌に対して、現在行われているステント挿入やレーザー焼灼はいずれも出血・穿孔など重大な合併症の可能性を有している.一方、癌に対する温熱療法は非侵襲的であるが、マイクロ波・RF加温方式はともに脂肪・筋肉部などにhot spotが発生することが欠点となっている.また癌細胞は厳密な温度管理をしないと熱耐性が生じることも知られているが、現時点でその正確な温度制御は困難である.今回我々は、一定の温度(キュリー点:Tc)に達すると磁性が失われて発熱が停止する固有の物性値を有する感温性磁性体を用い、磁場による誘導加熱温熱療法を考案した. 方法と結果:小型誘導加熱電源(Hot Shot 5kw【○!R】,Ameritherm Inc)、セラミック温度センサー、また人体応用可能なループ状コイルを用い、600Aの条件で1%寒天中にTc43℃の感温性磁性体を注入し30分間の誘導加熱実験を行った.寒天中の磁性体は約5分でTc43℃に達し、以後昇温はプラトーとなった.また注入量は500mgで十分な発熱効果が得られ、粒子径は40-150μmで安定した昇温効果が得られた.一方、注入部より2cm離れた部位での昇温は認めず局所加温が可能であることが確認できた.さらにマウスにおいても安定した温熱が得られた。 結論:本研究はTc43℃の感温性磁性体を用いて腫瘍内定温加熱を行える点が特色であり、かつ粒子径は約100μm前後と毛細血管・リンパ管から吸収されず、その後何回も非観血的低侵襲治療が行え、患者のQOL改善に大きく貢献することに意義があると思われる.本実験結果から、将来的には感温性磁性体を内視鏡下に腫瘍内に注入、体外より磁場を印可し誘導加熱させる温熱治療が臨床の現場においても実用化できる可能性が示唆された.
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