研究概要 |
ラットニ次性肺高血圧モデルの作成については、26G針により肺動脈から大動脈を串刺しにしてA-P windowを作成しても約一週間で自然閉鎖してしまうことがわかった。それ以上太い針を使用すると出血がうまくコントロールでき,なかった。In vitro実験系では肺動脈血管平滑筋細胞に特化した測定系を作成した。肺動脈血管平滑筋細胞(PAVSMC)培養系を用いたreal-time quantitative RT-PCR (qPCR)、蛍光免疫染色、proliferation assay、アポトーシス解析、f1ow cytometry等の実験方法を確立した。qPCRでは肺動脈の収縮・拡張に関連する因子を中心としてprimer設計およびlightcycler systemへの最適化を行い、HO1、エンドセリン1、アドレノメデュリン、iNOS、ACEをはじめ約200種類の遺伝子発現を観察することができるようになった。免疫染色ではAlexaシリーズの蛍光色素を導入し、digital画像処理の技術を導入することにより、通常の蛍光顕微鏡下での共焦点画像取得を最適化した。HO-1、YY1、RbなどHO-1/CO系に関連する転写因子、α-actin等の細胞内骨格等の染色、mitotrackerを用いたミトコンドリアの膜電位等を組み合わせ、3重染色を行い、細胞あるいは血管の機能評価を行う手法を;確立した。残念ながら、初代VSMC培養系への遣伝子導入の困難さから、GFP-plasmidを用いた遣伝子導入は実験に耐えうる十分な導入効率に達しておらず、in vivoでの肺に対する直接的な遺伝子導入には至っていない。しかし、hydrodynamic methodによる肝臓への遣伝子導入による実験系を現在計画中である。導入するHO-1遺伝子は新規primer設計し、nested PCRによりORFをcDNAとして合成し、CMVプロモーターを含むプロモーターにサブクローニングし、合成に成功している。
|