研究概要 |
胚性幹(ES)細胞から肺胞への分化誘導を行うため、第一にキトサンスポンジ培養器の作製をなした。テフロンにて直径5.1mm、高さ4mmの円柱に、1mm幅の溝をつくり、それを雄型として、硬質石膏にて雌型をとり、シリコンゴムを流し、雄型を作製した。このシリコンゴムにキトサンスポンジをコーティング後、ガス滅菌してキトサンスポンジ培養器とした。この培養器の一方の壁にA液(BMP-4,Wnt-7b,Shh)を吸着させ、反対側の壁にはB液(FGF-7,FGF-10,Noggin)を吸着させて、乾燥させて後、実体顕微鏡下にて、溝底にマトリゲルを塗布した。ES細胞はLIFを除去したES細胞培地にて細胞非吸着性スミロンセルタイト.スフェロイド96Uプレート内で5日間培養することにて、胚様体を作製した。24穴プレートにて肺上皮細胞培養液内に浸けたキトサンスポンジ培養器の溝に、この胚様体を入れ,隔日に培地交換を行い7日間、3次元培養を行った。その培養細胞は10%ホルマリンにて固定し、パラフィン切片を作製した。1型肺上皮細胞のマーカーであるT1-α、Aquaporin-5抗体、2型肺上皮細胞のマーカーであるSP-A,SP-C,TIF-1抗体を用いて免疫染色を行った。その結果、スフェロイドの表面上には1型肺上皮抗体にて染色され、2型肺型肺上皮抗体では主として、スフェロイド内部が染色され、一部表面が染色させた。免疫染色法にて、この肺胞分化システムにより、ES細胞から肺胞上皮細胞への分化が可能である成績が得られた。
|