研究概要 |
胚性幹(ES)細胞より肺胞への分化をin vitro、in vivoにて行った。 1.ES細胞から胞への三次元培養による分化 マウスES細胞をLIFを除いたES細胞培地にてスミロンセルタイト・スフェロイド96Uプレートにて5日間培養後、胚様体(EB)を作製し、キトサンスポンジ培養器の溝に入れて、7日間培養した。培養器の一側壁にはBMP-4,Wnt-7b, Shhを吸着させてあり、反対側壁にはFGF-7,FGF-10,Nogginを吸着させてある。その結果、スフェロイドの表面にI型肺上皮細胞のマーカーであるT1-α、Aquaporin-5が免疫染色で染色され、II型肺胞上皮細胞マーカーのSP-A、SP-C、TIF-1がスフェロイド内部に染色された。さらに、分化したスフェロイドの肺胞遺伝子発現を調べるためRT-PCRにてTiel, LAR-PTP2,T1-α、SP-Cを検出しえた。しかし、組織像においては肺胞様形態までにはいたらなかった。 2.In vivoでの胞への分化 ES細胞を同様にキトサンスポンジ培養器にて分化させた後、5-Carboxyfluorescein diacetate succinimidylester(CFDASE)にて生蛍光染色を行い、同系の129SVマウスの肺に注入した。移植後1,2週間目にて肺組織を摘出し、蛍光実体顕微鏡にて肺内の蛍光部位を確認後、凍結切片を作製し、細胞核はブルー蛍光DAPIにて発色した。CFDASEにてグリーン蛍光を発する細胞をT1-α、Aquaporin-5、SP-A、SP-C、TTF-1抗体にて免疫染色を施行した。'その結果、T1-α抗体に陽性に染色され、また軽度にAquaporin-5抗体に染色されたことより、I型肺胞上皮細胞に主に分化していたが、肺胞全体を形成するまでには至らなかったが、今後の発展が期待される。
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