研究課題
I 中枢神経系病態モデルにおける多分化能を持つマイクログリア--BINCsラット脳の針刺し損傷モデルと中大脳動脈一過性閉塞による脳虚血モデルを使い、マイクログリア様細胞が関与する損傷修復機構を詳細に検討した。損傷後早期から損傷部には多数のマイクログリアマーカー陽性細胞が存在し、盛んに増殖していた。これらの多くは神経系の多能性幹細胞マーカーを発現し、分離培養すると、神経外胚葉系細胞が高率に発生してくることが判明した。しかし、これらのマイクログリア様未分化前駆細胞は、血液中の単球様細胞に由来すると考えられ、中枢神経系に常在する静止型マイクログリアと同一視することは困難であるとの結論し、当面Brain Iba1^+/NG2^+Cells(BINCs)と称し、静止型マイクログリアとは区別して研究を進めることにした。II BINCsの脳病態への関連を解析するためのトランスジェニックマウスの作成現在、マイクログリア/マクロファージマーカーのIba1プロモーター下に単純ヘルペスウイルス・チミジンキナーゼ(HSV-tk)を接続したトランスジェニックマウスの作成に成功した。このマウスは、脳病態モデルを作成後、ガンシクロビルを腹腔内投与することでBINCsに細胞死を誘導、またはBINCs活性化を抑制するためのモデルである。類似の遺伝子改変マウスとして、CD11bプロモーター-HSV-tk遺伝子導入マウスを用いた研究が発表されているが、我々が最近見出したように、脳病態モデルで現れるCD11b陽性細胞はその多くが好中球であるため、マイクログリア/マクロファージの脳病態への関与を分析するモデルとしては不適当である。Iba1プロモーター-HSV-tkマウスにより、脳修復再生へのBINCsの関与を解析していく予定である。Iba1プロモーター-Creマウスはダブルトランスジェニック化をすすめていく。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
Glia (in press)
Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism (in press)
Histochemistry and Cell Biology 124
ページ: 477-486
Journal of Neuroscience Research 81
ページ: 163-171