研究概要 |
【目的】末梢血中に存在することが予測される間葉系幹細胞の効率的な分離法の開発を目指し、間葉系幹細胞と線維芽細胞との特性比較を実施した。 【方法】ヒト間葉系幹細胞(胎盤組織由来:以下、MSC)をおよびヒト正常線維芽細胞(WI38、NTI-4、Hs68:以下、FB)の2グループのヒト接着性細胞に関して、デキサメサゾン(1μM)、3-イソブチル-1-メチルキサンチン(0.5mM)、インドメタシン(0.2mM)、インシュリン(10μg/ml)、10%FBSを含む培地で4週間培養した後、オイルレッドO染色を行い、脂肪細胞への分化度を評価した。次に、トリプシン処理で培養容器から剥離した細胞について、以下の1次抗体を用いて細胞表面マーカー発現様式を比較した。使用した1次抗体リスト:CD105(1:16,Chemicon)、LNGFR(CD271)-PE(1:33,Miltenyi biotec)、anti-fibroblast(1:100,Sigma)、SSEA-4(1:50,Chemicon)。 【結果】分化能比較では、MSCはオイルレッドOで赤く染色される脂肪滴を含む細胞へ分化したが、FBは同一のプロトコールでは分化は見られず、むしろ細胞死が誘発された。表面マーカーの発現比較では、LNGFRおよびSSEA-4に関しては両細胞の発現量に大きな差は見られなかった。一方、anti-fibroblastはFBで高発現しており、その逆にCD105はMSCで高発現する傾向が見られた。 【考察】2種類の抗体(anti-fibroblast、CD105)の使用で、分化能の異なるMSCとFBを判別できる可能性が示唆された。
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