研究概要 |
(1)ヒト間葉系幹細胞とヒト線維芽細胞の特性比較 ヒト間葉系幹細胞(骨髄由来、胎盤由来)と株化ヒト線維芽細胞(Hs68, NTI-4, WI-38)に関して4種類のマーカー分子(CD105, LNGFR, anti-fibroblast, SSEA-4)の発現率をFACSを使用して比較解析した。ヒト間葉系幹細胞と比較して、株化ヒト線維芽細胞ではanti-fibroblastとSSEA-4が高発現する特微が見られ、一方、CD105陽性率は細胞間でのばらつきが大きく、LNGFRはいずれの細胞においても低発現であることが明らかになった。以上の結果から、2種マーカー(anti-fibroblast,SSEA-4)を用いたFACS解析でヒト間葉系幹細胞とヒト線維芽細胞を区別することが可能であることが示唆された。 (2)ヒト末梢血細胞からのヒトiPS細胞作製 レトロウィルスベクターとしてViraPower^<TM>Lentiviral Expression System (Invitrogen社)を使用し、OCT3/4、MYC、SOX2、KLF4遺伝子を各々pLenti6/V5-DESTのCMVプロモーター下に組込み、組換え遺伝子過剰発現プラスミドを作製し、組換えレンチウィルス産生細胞を作製した。成人末梢血から単核球を分離し、これら4種類の組換えレンチウィルスをRetroNectin (タカラバイオ社)使用下に同時感染させ、フィーダー細胞(MEF)上に再播種し、霊長類ES細胞用培地を使用して3週間培養した。その結果、ヒトiPS細胞の樹立を確定するには至らなかったが、遺伝子導入細胞と思われるコロニー形成細胞の出現を観察することに成功した。以上の結果から、ヒト末梢血由来単核球からヒトiPS細胞を樹立するために必要な技術的課題に関する多くの知見が集積された。
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