研究課題/領域番号 |
17659458
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
研谷 智 旭川医科大学, 医学部, 助教 (80322907)
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研究分担者 |
熱田 裕司 旭川医科大学, 医学部, 講師 (90167924)
丹代 晋 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70344570)
能地 仁 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70396357)
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キーワード | 神経移植 / ラット / 運動単位 / 坐骨神経 / 副交感神経 / 機能再建 / 筋電図 / 微小手術 |
研究概要 |
副交感神経節移植による筋再支配を目的として、ラットを用いて以下の移植モデル試行と解析を行った。昨年度までは主に神経節を坐骨神経内に遊離移植する方法を用いたが、今年度は神経節と連続する迷走神経移行による骨格筋再支配の可能性について検討した。 1.副交感神経束(迷走神経)の順行性移行モデル:迷走神経を切断し、その中枢端を脱神経した胸鎖乳突筋内に埋め込んだ。2ケ月経過後の観察では筋は対照側と比べて萎縮していたが、筋電図では自発性筋活動を認め、一部筋繊維は神経再支配を受けたことが観察された。迷走神経の電気刺激により誘発筋電図活動も観察できた。追加実験として副交感神経節の中枢側を切断した動物において同様の実験を行ったが、その条件でも同様な結果を観察できた。筋組織標本において再生筋繊維を確認した。 2.副交感神経束(迷走神経)の逆行性移行モデル:副交感神経節と迷走神経の連絡を残し、神経節中枢側を切断した。この条件で神経節を脱神経した胸鎖乳突筋内に埋め込んだ。2ケ月経過後の観察では筋は対照側と比べて萎縮していたが、筋電図では自発性筋活動を認め、一部筋繊維は神経再支配を受けたことが観察された。迷走神経の電気刺激により誘発筋電図活動も観察できた。筋組織標本において再生筋繊維が確認された。 3.副交感神経節の筋腹内移植:動物から副交感神経節を採取し、脱神経した自家脛骨筋あるいは胸鎖乳突筋の筋腹内に留置した。2ケ月後の筋は著明に萎縮し、自発性の筋活動は認めなかった。一方、筋組織標本の解析では移植神経節は生着しており、多数の神経節細胞の生存を認めた。 結論として、副交感神経節は遊離器官移植の手法で生体内に生着可能であった。しかし、その場合は細胞数も減少し、筋を再支配するほどの再生能力が得られない。一方、神経節の中枢あるいは末梢のどちらかを連続して神経移行の様式で用いた場合は、骨格筋を再支配できることが明らかとなった。
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