1)反復的神経圧迫装置の開発 末梢神経に反復的、可逆的な圧迫が可能な神経圧迫装置を開発した。アクリルで作成した立方体の内腔にシリコンゴムによるバルーンをはり、空気の注入によって膨らむようにした上部と神経設置部に陥凹を設けた下部をスクリューによって固定できるようにした。この装置にステッピングリニアドモーター、ストアードプログラム型コントローラ、PCを連動させることで反復的神経圧迫装置の開発に成功した(現在、特許出願中)。 2)圧迫条件の決定 圧迫に伴う神経の生理学的変化が可逆的な圧迫条件を決定するために、日本白色家兎(12週齢雄、約3.0kg)52羽を用いて、異なる圧迫強度での神経の生理学的変化を調べた。麻酔呼吸管理下に兎坐骨神経を展開し、1)にて開発した神経圧迫装置を装着した。坐骨神経の近位部に刺激電極、遠位部に記録電極を装着し、圧迫中と解除後の神経複合活動電位の変化を計測した。神経複合活動電位計測後、エベンスブルーアルブミンの静脈内投与を行い、神経内膜内血管の透過性の変化を観察した。圧迫強度は40、80、120mmHgとした。 その結果、神経複合活動電位は80mmHg以上の圧で圧迫に伴ってその振幅が減少した。解除後は80mmHgの圧では振幅が速やかに回復したが、120mmHgの圧では回復が遷延した。また、神経内膜内血管には120mmHgの圧でのみ透過性の亢進を認めた。 3)反復的外力による神経の生理学的変化に関する検討 2)の結果より、80mmHgを本実験における微小外力と定義し、反復的外力による影響を調べた。実験群を30分間持続的に圧迫を加える持続群、30秒に1回1秒の解除を行う低頻度解除群、10秒に1回1秒の解除を行う高頻度解除群の3群とした。兎坐骨神経を用いて2)と同様に圧迫中と解除後の神経複合活動電位の変化を計測した。現在データ解析中。
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