1)30分間の反復的外力による神経の生理学的変化に関する検討 前年度までの結果より、80mmHgを本実験における微小外力と定義し、反復的外力による影響を調べた。実験群を30分間持続的に圧迫を加える持続群、30秒に1回1秒の解除を行う低頻度反復解除群、10秒に1回1秒の解除を行う高頻度反復解除群の3群とした。日本白色家兎(12週齢雄、約3.1kg)18羽を用いた。麻酔呼吸管理下に兎坐骨神経を展開し、前年度までに開発した神経圧迫装置を装着した。坐骨神経の近位部に刺激電極、遠位部に記録電極を装着し、圧迫中と解除後の神経複合活動電位を計測した。神経複合活動電位計測後、エバンスブルーアルブミンの静脈内投与を行い、神経内膜内血管の透過性の変化を観察した。 その結果、持続圧迫群では圧迫解除後速やかに神経伝導の回復を認めたが、反復圧迫群では回復が遷延し、神経内膜内血管の血管外漏出を認めることがわかった。 2)90分間の反復的外力による神経の生理学的変化に関する検討 1)の結果をふまえて、より長時間の反復的外力による影響を調べた。実験群を90分間持続的に圧迫を加える持続群、30秒に1回1秒の解除を行う低頻度反復解除群、10秒に1回1秒の解除を行う高頻度反復解除群、10秒に1回1秒の圧迫を加える高頻度反復圧迫群をの4群とした。日本白色家兎24羽を用いた。1)と同様の用法で神経複合活動電位を神経内膜内血管の透過性の変化につきしらべた。 その結果、神経複合活動電位の振幅は圧迫中、持続群、低頻度反復解除群、高頻度反復解除群、高頻度反復圧迫群の順に減少した。圧迫解除後は、反復群で回復が遷延し、神経内血管の血管外漏出も認めた。
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