研究課題/領域番号 |
17659460
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山崎 正志 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50281712)
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研究分担者 |
吉永 勝訓 千葉大学, 医学部附属病院, 助教授 (30270870)
村田 淳 千葉大学, 医学部附属病院, 助教授 (20344997)
大河 昭彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30312945)
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キーワード | 脊髄損傷 / 遺伝子治療 / ウィルスベクター / センダイウィルス |
研究概要 |
目的:強力な感染性・タンパク発現効率の高さ・安全性を特徴とする、センダイウィルスベクターの正常および損傷脊髄に対する投与法を検討し、感染効率・導入遺伝子の発現様式や副作用の有無を明らかにすることを計画した。これにより、センダイウィルスベクターの脊髄損傷治療への応用の可能性を明らかにすることが本研究の主目的である。 方法:マーカー遺伝子としてgreen fluorescent protein(GFP)を搭載したセンダイウィルスベクター(SeV)を、ガラスマイクロピペットを用いて5μl脊髄内に注入した。注入後6時間・12時間・1日・3日・1週・2週・4週まで、BBB locomotor scale(Basso et al., 1995)をもちいてラットの行動を観察した。行動観察終了後、それぞれの時間経過でラットを4%パラホルムアルデヒドにて灌流固定し、脊髄および脳を取り出し、凍結切片を作成し、ヘマトキシリン-エオジン染色・Luxol Fast Blue染色を行い、組織の概形を検討のうえ、抗GFP抗体を用いた免疫染色を行い、導入遺伝子の発現パターンを時間的・空間的に解析した。 結果および考察:SeVを注入したラットでは特に異常行動(痙攣など)を呈するものは見られなかったが、注入直後より後肢の軽度の麻痺を呈した。麻痺は時間とともに徐々に回復傾向を示したが、注入後4週の最終観察時においてBBB score平均18点(満点は21点)と、軽度麻痺が残存していた。組織学的検討にて、SeV注入部周辺の空洞形成・炎症細胞浸潤がみられた。GFP免疫染色では、損傷部のニューロン・グリア細胞のみならず損傷部から頭尾側に、神経線維に沿ったGFP発現が見られた。発現のピークは注入後5日前後と思われた。他のウィルスベクターとは大きく異なるSeVに特徴的な遺伝子発現パターンとして、損傷部から頭尾側に広範囲に神経線維での発現が見られた。索路特異性などをさらに詳細に検討することでSeVを用いた遺伝子治療の脊髄損傷への応用の可能性につき探っていく予定である。
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