研究課題
研究目的:センダイウィルスベクターは、強力な感染性・タンパク発現効率の高さ・安全性を特徴とするウィルスベクターだが、血管閉塞性肢疾患での臨床治験も計画され審議中であることもあり、非常に注目を集めている。本研究の目的は、センダイウィルスベクターの正常および損傷脊髄に対する投与法を検討し、感染効率・導入遺伝子の発現様式や副作用の有無を明らかにすることである。方法:雄ウィスターラット8週齢の胸椎を全身麻酔下に椎弓切除した。マーカー遺伝子としてgreen fluorescent protein(GFP)を搭載したセンダイウィルスベクター(SeV)を、ガラスマイクロピペットを用いて3μl脊髄内に注入した。コントロールとして、同量の生理食塩水を同部位に注入した。注入後6時間・12時間・1日・3日・1週・2週・4週まで、麻痺の有無を中心に、ラットの行動を観察した。行動観察終了後、組織切片を作成し、組織の概形を検討、さらに抗GFP抗体を用いた免疫染色を行い、導入遣伝子の発現パターンを時間的・空間的に解析した。抗GFP抗体と神経系細胞の特異的マーカーを用いた免疫二重染色を行い、導入遺伝子の発現細胞を解析した。結果および考察:センダイウィルスベクター注入後ラットは一過性に軽度の後肢麻痺を呈したが、注入後3日程度で回復し、以後6週まで行動学的異常を認めなかった。組織学的にも、注入部のわずかな脱髄および神経細胞脱落を認めるのみで、組織障害はごく軽度と思われた。免疫染色の結果、注入部のみならず注入部頭尾側の神経線維にGFPの強い発現が見られた。発現は注入後5日がピークであり、注入後2週ではもはやGFP発現は認められなくなっていた。結論:センダイウィルスベクターは脊髄に強力に遣伝子導入することが可能であり、脊髄損傷に対する遺伝子治療のツールとして有用であると思われた。
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