研究課題
脊髄損傷を含め神経損傷では軸索信号の伝播に必要である髄鞘形成が脱髄により障害されており、その治療においては損傷神経の再髄鞘化が重要である。主に末梢神経における研究から、髄鞘関連糖蛋白MAGが髄鞘形成初期に発現上昇を示し、かつ、その発現を誘導する遺伝子操作を行うことにより髄鞘形成が促進されることが報告されている。脱髄の再髄鞘化機構を解明するうえで、MAGの発現調節を転写レベルで明らかにすることが重要であると考えられる。そこで今回、ラットシュワン細胞初代培養系を用いてMAG遺伝子プロモーター解析を行った。ラットゲノムDNAよりMAG遺伝子をサブクローニングし、これを組み込んだルシフェラーゼレポーターベクターを作成した。MAG遺伝子転写活性を高めるcis-acting elementを同定するため、転写開始点上流で種々のサイズのdeletion mutantを作成し、これをラットシュワン細胞に導入、ルシフェラーゼ活性を測定した。これによりMAG遺伝子転写開始点の約130bp上流で転写活性を高めるcis-actin gelementである20塩基配列を同定した。この配列を遺伝子より欠失させることにより転写活性は著減し、また反復配列を遺伝子に挿入することにより転写活性は増大した。次にこの配列に結合し転写制御を行っていると考えられるタンパク質の存在を証明するためゲルシフト法をおこなった。先の塩基配列を含むDNAプローブとシュワン細胞核抽出蛋白を反応させたところ、DNA-蛋白質複合体のシフトがみられ、転写制御因子蛋白の存在が予測された。現在この蛋白質を同定するため酵母one-ハイブリッドを用いて候補蛋白質のスクリーニングを行っている。
すべて 2006 2005
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