昨年度はChIp(Chromatin Immuno-Precipitation)-CGH(comparative genomic hybridization)法の条件を元に、ChIp-CGHの条件および精度を確認するため、滑膜肉腫細胞株SYO-1を用いて実験を行った。SYO-1細胞にヒストンアセチル化阻害剤FK228を投与し、ヒストンのアセチル化を誘導し、ChIp-CGH法でヒストンアセチル化の検出を行えるか検証した。 本年度は、ヒストンのアセチル化の状態をより詳細に検出するためにマイクロアレイを用いて、アレイCGHを行った。ChIp-CGH法で用いたDNAを用いて、DOP-PCR法を用いてDNAの増幅を行った後、Cydyeにて蛍光標識し(ChIp DNA とInput DNA)、Operon社製OpArrayにハイブリダイズさせた。その後Agilent DNA Microarray Scannerで取り込み後、Feature Extraction Softwareを用いて数値化した。Log ratio+/-2.0以上をgain(高アセチル化)、loss(低アセチル化)と判定した。 アレイCGHでの結果は、ChIp-CGH法の結果と異なる傾向にあった。ChIp-CGH法ではメタファーゼ上で全染色体を網羅的に検索可能であるが、アレイCGHではすべての領域を網羅していないためと考えられる。そのため、ChIp-CGH法で検出された領域を選択したカスタムアレイを選択するべきである。 ChIp-CGH法を用いてヒストンアセチル化領域の検出が可能であった、しかし検出感度の問題があり、遺伝子を特定するには至らない。そのため、より詳細に遺伝子を検出するためには、特定した領域のデレイCGHを行うべきである。
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