研究概要 |
敗血症などに続発するARDSでは、肺高血圧が発生する。肺高血圧は、血管の機能的収縮と器質的変化により発生する。血管の器質的変化として、(1)肺胞や肺胞管レベルの末梢肺動脈では、傍細胞が血管平滑筋に分化し、血管平滑筋を持つ血管の割合が増加し、(2)既に中膜を持つ筋性血管では、血管平滑筋の肥大・過形成により中膜肥厚が発生する。こうした肺高血圧血管病変は、肺高血圧の病因にかかわらず共通である。最近、活性化プロテインCが敗血症患者の予後を改善することが注目されている。本研究では、(1)プロテインCを活性化するトロンボモジュリンによりモノクロタリンによる肺高血圧血管病変の発生が抑制されるか、(2)抑制されるとしたらその機序はNO-c GMP系の賦活を介するかを検討した。 生理・病理学的測定項目:(1)覚醒下肺動脈圧測定では、トロンボモジュリンの投与は肺動脈圧を低下させなかった。(2)右心室肥大の出現も抑制しなかった。 NOS(eNOS,iNOS)の測定:肺組織を凍結保存後、(1)ホモゲナイズしトータルmRNAを抽出し、(2)eNOS,iNOSのRTPCRを行う。ウエスタンブロットによりタンパクレベルの解析を行ったところ、湯同型NOSのウエスタンブロットでは、バンドが検出できなかった。モノクロタリンにより、肺の内皮型NOSの発現は亢進した。
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