研究課題
尿路性器癌にて近年問題化している化学療法耐性の克服のために、我々は尿路性器癌特異的に上昇している活性酸素種(ROS)解毒作用をもつNADH quinone oxidoreductase-1(NQO1)酵素に注目し、その阻害剤であるdicoumarolが、癌細胞株においてはROSの増加を介してその増殖能を著しく抑制するとともに、シスプラチン(CDDP)等の抗癌剤の抗腫瘍効果を増強する知見を見出した。さらに解析を進めたところDicoumarolの細胞障害活性はp53-p21経路を介した細胞周期停止機構を阻害し、その結果JNKを活性化することでmitochondriaを介したapoptosisを誘導することが判明した。つまり、p53-p21経路の抑制が細胞障害性ストレス作用を増強し、抗癌剤耐性機序の克服につながる可能性を見出したのである。今後はこれらの知見をin vivoでも確認し、この癌特異的な抗癌剤細胞障害活性増強機序の臨床応用の可能性について検討して行きたいと考えている。なお、ここまでの研究成果は"Dicoumarol potentiates cisplatin-induced apoptosis mediated by c-Jun N-terminal kinase in p53 wild-type urogenital cancer cell lines."としてOncogene.2006 Mar 6に発表を行っている。
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