研究概要 |
前方視的コホート研究として、以下の研究成果をあげた。 1.自然流産の脱落膜中で、NK細胞%、NKT細胞%、Th1/2、Tc1/2を調べた。IA群(n=14)に比べて、Th細胞のIFN-γ+細胞%とIL-4+/TNF-α+比の上昇、およびTc細胞のIL-4+細胞%、IL-4+/IFN-γ+比とIL-4+/TNF-α+比の低下がSA群で認められたが、SANK(n=14)とSAAK(n=26)には差がなかった。SANKにおけるTh1優位は確認されなかった(Shimada et a1.,Am J Reprod Immuno1 2006)。 2.993妊婦において妊娠初期に子宮頚管スワブからDNAを採取し、サイトメガロウイルス(CMV)の存在をPCR法で調べた。7.7%の妊婦でCMVが陽性であった。CMV陽性妊婦の流産率は、有意に高率であった(RR7.0,95% CI2.O-23.8,p<0.01)(Tanaka et a1.,J Med Virol 2006)。潜在性CMV性器感染は、流産のリスク因子であることが判明した。 3.出生コホート研究として、412妊婦よりDNAを採取した。Catechol-0-methyltransferase(COMT)遺伝子多型を解析した結果、COMT-Lアレルは、低出生体重(OR3.0,95%CI1.1-8.1)および子宮内胎児発育遅延(OR2.6,95%CI1.1-6.1)のリスク因子であることが判明した(Sata et al.,Pharmacogenetics 2006)。 ほかに、胎盤表面血管のトポロジー解析により、血管トポロジー因子(ノード数)と胎児発育との間に正の相関があることを世界で初めて発見した(Yamada et a1.,Hokkaido J Med Sci 2006)。
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