研究概要 |
本研究の目的は子宮内膜および子宮内膜症におけるSteroidogenic Factor-1(SF-1)の発現を制御するプロモーター領域を特定し、さらにプロモーター領域に結合するたんぱく質の同定も試みることである。 まずSF-1遺伝子の上流領域を含む3種類のSF-1 plasmid Luc-constructs(-3200/+140,-2000/+140,-110/+140)を作成した。さらに、-110bp以内に存在するSF-1の転写活性に必須と考えられている領域(sox site, E box, CCAAT box, SP-1 siteなど)のsite-direct mutantsを作成し、子宮内膜および子宮内膜症の培養細胞に形質移入してルシフェフェラーゼ活性を測定した。さらに子宮内膜および子宮内膜症のパラフィン包埋切片および新鮮凍結検体を用いて免疫染色およびreal-time PCRを行い、NF-YA, NF-YB, NF-YC, Sox-9,USF-1,USF-2の発現強度およびに局在に関して検討した。これまでの解析からSF-1プロモーターの5'末端側より-110 base pair以内にSF-1の発現を規定する領域が存在することが予想された。さらにその部位に結合する蛋白には、重要な転写因子であるNuclear Factor-Y(NF-Y)、Sox-9、Upstream Stimulatory Factor(USF)-1、USF-2などが想定されており、現在解析中である。 エストロゲンがどのような機序で、何を介して子宮内膜症の増殖・進展に働きかけているのか未だ不明である。それだけに、局所におけるSF-1の転写調節機構を解明しそれを基にエストロゲンによる子宮内膜症の細胞増殖作用機序を解明することは、選択的にエストロゲンを抑制しようという試みにつながる可能性がある。
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