研究概要 |
本年度はC57BL/6J系マウスを用いて頭部を固定し、三叉神経核より細胞外電位を測定するシステムの構築と平行して、三叉神経神経節、耳管周囲組織(粘膜)、蝸牛に分布するアドレナリン、アセチルコリン、CGRP、サブスタンスPのサブタイプの発現について生化学的検討を行った。 マウスをケタミン、xylazineで麻酔した後に頭部をホルダーに固定しやや側方に翻転、開頭し三叉神経を明視下においた。マウス用音響スピーカーシステム、生体アンプを用いて、三叉神経を露出した前後のCAP閾値の変化のないことを確認し、三叉神経からの細胞外電位を測定するシステムを作成した。また、マウスの中耳腔にピオクタニンを注入することにより耳管の鼻腔までの解剖学的構造を染色後同定した。 さらに、耳閉感に関与すると考えられる耳管粘膜周囲の求心性神経の受容体の検討を行った。マウスより三叉神経の神経節、耳管粘膜、蝸牛を採取し、cDNAを作成した。アドレナリン受容体(α、β)、アセチルコリン受容体(ムスカリン受容体M1,2,3,4,5、ニコチン受容体α1,2,3,4,5,6,7,8,9,10、β1,2)CGRP,サブスタンスPのspecific primerを用いてRT-PCRを行いmRNAの発現を検討した。三叉神経、耳管周囲組織、蝸牛に共通してムスカリン受容体のM2、三叉神経、蝸牛に共通してニコチン性受容体のα、βサブタイプとアドレナリン受容体のβ3受容体の発現が見られた。
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