・体温排熱を回収し、熱電変換素子による発電を利用するシステム開発のために、基礎的データの収集を目的とした要素実験を行った。熱電変換素子は8×12×16.5tmmサイズのものを使用した。吸熱部材として、3極類のウレタン樹脂を用い、アルミニウムフィンを載せた状態における素子温度差(ΔT)を比較評価した。選択した1種類の樹脂を用い、上記熱電変換素子を10個連結したベルト状のユニットを試作し、発電力を評価した。使用したウレタン樹脂は、以下の3種類でいづれも株式会社ポリシス製である。*アルミナフィラー入り樹脂(白色)厚さ2.2mm粘着性なし*人肌プリンゲル(白色)厚さ3mm粘着性あり*パプラスタックゲル(黒色)厚さ2.5mm粘着性あり ・熱電変換素子1個使用の場合の素子温度差(ΔT=Th-Tc)の肌に接触させてからの時間ごとに樹脂ごとに測定した。人肌プリンゲルとアルミニウムフィンを使用した「ベルト状発電ユニット」を使用した実験結果を、肌に接触させてからの時間ごとに測定した。 ・熱伝導率としては、アルミニウムフィン入りの樹脂が最も高いが、人体に接触した場合の温度差を得るための所要時間に大きな差は無かった。 ・熱電変換素子の温度差は、粘着性のある樹脂の方が比較的大きかった。 ・人体接触後数分で発電力の変化は小さくなるが、10分以上経過しても徐々には低下していた。 ・接触初期には60μWの発電力が、20μW前後までに低下してしまった。 ・蓄電して発電利用するとしても、さらなる改善による発電力の向上が必要であると思われた。そのためには、放熱能力と密着性の改善と合わせて、素子面積の増加を検討する必要がると考える。
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