研究概要 |
骨髄血管前駆細胞から血管内皮細胞への分化培養系を確立し,同培養系にてCFU-EC(血管内皮細胞コロニー形成能)、CFU-GM(穎粒球、マクロファージコロニー形成能)を定量的に測定する形を確立した。加齢黄斑変性症患者では血管新生膜形成の活動期からの時間と末梢血CD34陽性細胞数が有意な相関を示した。つまり、加齢黄斑変性でもその病態の変化とともに末梢血骨髄幹細胞が誘導され疾患の進行に関与することが示唆された。また、その相関は、活動期ほど細胞数が多いというものであった。コロニー系性能では、末梢血幹細胞機能が加齢黄斑変性の重篤度と相関していることを見出した。機能が低い患者では有意に病変の大きさが大きく、また両眼発症のリスクが高い事もわかった。これらの結果から、末梢血幹細胞は積極的に加齢黄斑変性病態に関与しており、その機能は疾患の沈静化にあると考えられた。そこで、昨年度に確立した動物モデル、骨髄移植脈絡膜新生血管形成モデルを使い、骨髄細胞機能と脈絡膜血管新生の関連を検証した。若年マウス骨髄を移植した個体では老年マウス骨髄を移植した個体に比べ有意に脈絡膜血管新生が小さく、拡大が抑えられていた。このことから、末梢血骨髄幹細胞が脈絡膜新生血管形成に抑制的に働くことを実証し、それには機能のよい細胞が必要であることを示した。また、この結果から、加齢黄斑変性に伴う脈絡膜血管新生への新治療の可能性を示せた。これらの内容は現在投稿中である。
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