胆道閉鎖症患児3例に対して、初回手術時における肝門部胆管遺残組織の切離時に採取された索状組織を、標本採集後無菌的操作下で直ちにpH7.2のHanks液に浮遊させて洗浄し、手術室から実験室に移動させた。移動・運搬に際しては昨年に購入した凍結保存容器に入れた上でこの操作を行った。次いでこの肝門部索状組織を用手的に1mm以下の砕片とし、Collagen Matrixでコーティングし、Dulbecco's modified Eagle mediumとHam F-12 medium (Sigma)、ならびに10%のNu-Serum (Becton & Dickinson)を含んだペトリ皿に入れた。これに上皮細胞増殖因子(EGF)、insulin、dexamethasone、triiodothyronine、forskolin (Wako)、抗生剤、抗真菌剤を加え、37℃、5%CO_2濃度に保たれたCO_2インキュベーター内において初期培養を行った。 初代培養後3週目に胆管上皮細胞がコロニーを形成している部分のコラーゲンを切離し、新しい培養皿に移して継代培養する予定であったが、細織学的検索を行ったところ、残念ながらいずれも培養途中で細胞が死滅してしまい、線維化を生じていた。 その原因として考えられるのは、上皮細胞増殖因子(EGF)、またはinsulinのいずれかに問題があると考えられたため、本年度はこれらを各種変更しながら再度挑戦する予定である。
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