本研究ではinv遺伝子のtransgenic mouse(inv mouse)が内臓逆位と高度の閉塞性黄疸を示すことに着目し、黄疸の原因となる肝胆道系の異常を追究することにより、inv mouseがヒトの胆道閉鎖症の疾患モデルとなり得るか、またその発生原因と病態を胎生学的に解明することを目的とした。 平成19年度においては、inv heterozygote mouse雌雄をmatingさせ、妊娠マウスから胎仔を摘出し、PCRにてinv遺伝子の有無を決定し、[inv/inv][inv/+][+/+]の核型に分類した。 つづいてホルマリン固定した肝組織をパラフィン包埋ブロックから薄切切片を作成し、妊娠9日目から13日目と追って肝内を観察した。ところが、胎児期は肝細胞同士の接着が粗であるため、薄切の際に肝細胞が剥がれやすく、観察に困難を極めている。 現在HE染色とCytokeratinに対する免疫組織化学染色を行っている。出生後のマウス胎仔においては肝切片にて、肝内胆管、門脈、動脈を同定でき、また肝内胆管における抗Cytokeratin抗体を用いた免疫組織化学染色の染色性は良好であった。invマウスにおいては肝内胆管は肝内門脈周囲にリング状に配列し、発生異常としてのductal plate malformationがあるものと考えられた。 抗cytokeratin抗体を用いた胎児期の肝細胞の染色性については未だ手技が安定せずにいる。 以上のことはinv遺伝子の有無の核型の違いでの差は認めなかった
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