研究課題/領域番号 |
17659557
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山本 有平 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70271674)
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研究分担者 |
古川 洋志 北海道大学, 北海道大学病院, 医員 (00399924)
佐々木 了 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40301907)
堤田 新 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00374489)
小山 明彦 北海道大学, 北海道大学病院, 助手 (70374486)
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キーワード | ケロイド線維芽細胞 / ブクラデシンナトリウム(DBcAMP) / cAMP / コラーゲン / Prostaglandin E2 (PGE2) |
研究概要 |
ブクラデシンナトリウム(DBcAMP)は細胞内に移行し脱アシル化後cAMPに変換される。線維芽細胞の研究から細胞内のcAMPの上昇はcollagenの産生の抑制を招くことが、肺線維芽細胞を中心とした基礎研から明らかになっている。また、アラキドン酸代謝産物のひとつであるProstaglandin E_2(PGE_2)はCOX-2の酵素機能によって産生され、EP2 receptorを介してsecond messengerであるcAMPを上昇させコラーゲンの産生を抑制することが知られている。これをケロイド線維芽細胞に応用し、cAMP製剤(DBcAMP)が、ケロイド線維芽細胞のコラーゲンの産生を抑制すれば新たなケロイド治療の開発につながると考えた。 われわれは、まず正常線維芽細胞と比較してケロイド線維芽細胞は、コラーゲン抑制因子であるPGE_2の産生能が低く、また、PGE_2抑制効果も低下していることを明らかにした。これは、正常線維芽細胞に対してケロイド由来線維芽細胞は、COX-2およびEP2 receptorの発現が低下していることが原因であった。そこで、ケロイド由来線維芽細胞のコラーゲン産生を抑制するには直cAMP濃度を上昇させることが必要と考えた。実際、Forskolin (cAMP activator)の投与により正常線維芽細胞だけではなくケロイ由来線維芽細胞も同様にコラーゲン産生が抑制されることを確認した。 そこで、本年度は、Forskolinのかわりに実際に臨床応用されているDBcAMPを用いてケロイド由来線維芽細胞のコラーゲン産生の抑制効果を検討した。結果、DBcAMPを添加した場合、正常線維芽細胞とケロイド由来線維芽細胞ともコラーゲン産生が抑制することを確認した。 今後は、細胞内cAMPの上昇からコラーゲン産生の抑制に至る経路の中身をより詳細に検討することを計画している。
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