目的:心肺機能停止患者に対する心肺蘇生法の究極は脳保護であるが、現在スタンダードとされている心肺蘇生法は、心肺停止後比較的時間が経過した症例では虚血再還流傷害により脳障害を増悪させている可能性がある。本研究では心肺停止後比較的時間が経過した症例においては、心肺蘇生法と同時に(可能であれは直前に)free radical scavengerを投与することの有用性を、実験動物において脳機能の観察により明らかにすることを目的とする。平成17年度においては、小動物における脳波測定の可能性につき検討した。 方法:12週齢の雄性Spraugue-Dowleyラット(200〜250g相当)を用い、ケタタール20mg/kg、セレクタール20mg/kg筋注による全身麻酔下にて、腹臥位にて、頭皮をはく離、頭蓋骨に3ケ所電気ドリルにて小孔をあけ径0.02mmの白金脳波電極を刺入、脳表面に白金脳波電極の先端が位置すると思われる位置でゴム粘土で固定する。白金脳波電極は固定部位より約2cmで切断、この切断部近傍をBISモニターと接続するラインの付いたクリップで挟み白金脳波電極とBISモニターとを接続させ、BISモニターで脳波を観察した。 結果:安定したSQI、EMG、EEG波形の観察は困難であった。 その要因として、 ・クリップの重さのため安定性に問題がある(電極の固定を強固とする)。 ・全身麻酔下であるため脳波は存在しても小さく観察が難しい(将来的にも全身麻酔によるBIS値低下とショック・脳虚血によるBIS値低下とを区別する必要があり、一度は覚醒させ、その後にショック・脳虚血状態を付加する必要がある)。 ・電灯などからの環境電磁波のアーティファクト(確実なアースをつける) ・脳表面への白金脳波電極挿入における技術的問題(ベストな挿入位置を見つける) などが考えられた(括弧内は対応策)。
|