研究課題/領域番号 |
17659576
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
朔 敬 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40145264)
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研究分担者 |
程 くん 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (40207460)
丸山 智 新潟大学, 医歯学系, 助手 (30397161)
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キーワード | 口腔粘膜上皮 / 細胞増殖帯 / 二方向性分化 / 幹細胞 / Ki-67 / BrdU標識 / インテグリン / MMP-7 |
研究概要 |
(1)口腔粘膜扁平上皮増殖中心細胞の組織化学的同定:本学医歯学総合病院における病理検査標本から、口腔粘膜の正常、過形成上皮および異型上皮さらに上皮内癌症例について、パラフィン連続切片を作成し、細胞増殖マーカとみなされているKi-67分子について免疫組織学的に検討した結果、正常上皮では増殖帯は基底第二層に位置し、増殖細胞はMMP-7等の発現をともなって異型上皮の二層性を形成し、それらの二次的分化により上皮内癌に増殖帯の基底側収束が実現することが判明した。 (2)BrdU標識法による口腔粘膜扁平上皮増殖中心細胞の同定:ヒト口腔粘膜境界病変の新鮮切除材料について、10ng/ml BrdU含有MEM培地で37℃、1時間インキュベートし、洗浄後、通法どおりパラフィン包埋し、免疫組織化学的にBrdU取り込み細胞を同定したところ、Ki-67陽性細胞の局在と一致し、扁平上皮増殖中心細胞が基底第二層に位置することが確実となった。 (3)口腔粘膜増殖性上皮病変における上皮幹細胞マーカの動態:ヒト口腔粘膜境界病変のパラフィン連続切片を作製し、インテグリンβ1、β4、P75NGFRの免疫組織化学的に検討したところ、β1は基底第一層、β4は基底第二層、P75は釘脚形成部粘膜の乳頭頂部基底第一層に局在し、異型上皮と上皮内癌では、それらの消失傾向がみられた。したがって、これらいわゆる上皮幹細胞マーカ分子は、上皮基底層第一層の細胞としての分化マーカとみなすことができた。すなわち、基底第一層細胞は基底細胞としてきわめて分化した細胞であり、幹細胞とみなすことが困難であると結論づけられた。 (4)口腔粘膜前がん状態としての粘膜下線維症における上皮性病変の解析:口腔粘膜前がん状態としての粘膜下線維症における上皮病態を検討した。その結果、線維化の亢進と異型上皮の程度ならびに上皮内癌発生頻度との関連がみられた。これは線維化による血管分布減少が局所の低酸素状態を惹起することと関連している可能性があり、唾液腺多形性腺腫類似の分子機構の可能性が示唆された。
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