研究課題/領域番号 |
17659583
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大谷 啓一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10126211)
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研究分担者 |
青木 和広 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40272603)
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キーワード | 破骨細胞 / RANK / RANKL / 表面プラズモン共鳴装置 / 分子モデリング / 骨吸収 / 細胞内情報伝達 / TNF |
研究概要 |
本年度は研究の初期段階として、破骨細胞の培養系を用いた以下の検索を行った。RANKの構造解析を行い、in silicoにて分子モデリングを行った。RANKはTNF受容体と共通の3量体の構造をしており、1つの受容体がligandであるRANKL2つと接して、情報伝達が行われることが明らかとなった。このRANKとRANKLの結合を阻害する小ペプチドを開発すれば、アンタゴニストとして有用である可能性が考えられた。そこで小ペプチドWP9QYを作成した。表面プラズモン共鳴装置を用いた観察では、TNF受容体アンタゴニストである小ペプチドWP9QYはRANKに親和性を持ち、TNF受容体と同程度の結合力を示した。しかしWP9QYはRANKとRANKL結合を引き離すことはできず、ligand-受容体結合を阻害しなかった。したがってWP9QY従来から考えられていたligand-受容体結合を干渉することによりその作業を発現するのではなく、違うメカニズムが存在することが示唆された。そこで分子モデリングにてWP9QYが結合した場合の、RANK-RANKL複合体の分子構造変化を予測したところ、WP9QYはこの複合体の構造変化を起こすことが示された。WP9QYはligandと受容体にはさまれる形をとり、ligand-受容体複合体の構造変化が生じ、その結果それ以降の情報伝達系が遮断される可能性が示された。WP9QYはTNF受容体アンタゴニストではあるが、RNK-RANKLの相互作用をも変化させることが明らかとなった。以上よりRANK-RANKL複合体と情報伝達システムの相互作用の一端が明らかにされ、新規ペプチド開発に重要な知見として活用できると思われる。
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