研究課題
BMP(Bone morphogenic protein)は局所における骨誘導能がありながら、歯科分野において実用化にいたっていない。我々はTNFアンタゴニストであるWP9QYペプチド(W9)の骨破壊抑制効果を関節炎モデルや歯周病菌による骨破壊モデルなどを用いて示してきた。骨形成過程には骨芽細胞の増殖分化が必須であるが、炎症部位において放出されるTNF-αがこの骨芽細胞の増殖分化を抑制することから、TNFアシタゴニストであるW9がBMP誘導の骨形成を促進するという仮説を立てた。まず初めに我々はW9の最適な薬物担体を検討した。なぜならばW9には1.ペプチドであるがゆえの分解されやすさ2.中性よりわずかな酸性環境下(pH7.0)でも凝集をはじめてしまう不安定さという2つの問題点があり、歯周病の骨欠損部への応用を考える場合,浸透圧ポンプを埋めるわけにもいかず、また炎症部位は酸性環境に傾くためW9は凝集を起こし効力を持たなくなると考えられたためである。ひとつの候補としてナノゲルエンジニアリングを応用した担体を検討したところW9はその単体に酸性環境下でもきれいに溶け込み粒子サイズが大きくなることはなかった。また、その担体を骨吸収モデルである低Ca食飼育マウスに皮下殺与したところ、3時間おきに8回打たないと効かなかったがW9が一日2回の投与で効果を発揮した。現在、さらに担体を修飾してもっと効果が発揮される担体を検討中であるが、まずこの担体を利用してBMPとW9を溶け込ませて、局所における骨形成誘導能に対するW9の効果を検討する予定である。なお、この結果は特許申請するために公表を差し控えてください(別紙参照)。
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