研究分担者 |
苔口 進 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (10144776)
山本 龍生 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (20252984)
恒石 美登里 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (50304324)
玉木 直文 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (20335615)
片岡 洋行 就実大学, 薬学部, 教授 (80127555)
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研究概要 |
本研究は口腔内で発生、蓄積する細菌終末代謝産物や揮発性有機物を高感度に分析し、口腔内細菌叢と併せて統合的に解析することで歯周病や口臭症等の口腔疾患の新しい検査・診断法の開発を行なうことを目的とした。本年度は1)膿栓および歯周炎の細菌叢の分子生物学的分析と2)口腔内気体成分測定法の開発を行ない、以下のような研究実績の概要であった。 1)真性口臭の原因として,舌苔や歯周疾患の他に鼻炎や扁桃腺炎などの耳鼻咽喉科領域の疾患が知られている。臨床において口臭を自覚的・他覚的に訴える患者で,膿栓が出ると訴えるケースをしばしば体験する。口臭を主訴とする患者から得られたこのサンプルの細菌叢を分子生物学的に分析し,さらに走査型電子顕微鏡を用いて観察した。表層には球菌が多く,内部にはスピロヘーター様の細菌や桿菌が認められた。さらに,歯周炎患者に対して2種類の処置を行い,歯肉縁下細菌叢の変化を分子生物学的に検討した。その結果,両処置法とも口臭の原因物質を産生する嫌気性菌が減少したことが分かった。 2)口腔疾患病態や口腔内細菌の活動と関連が高い硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルスルフィドなどの硫黄化合物は低濃度では保管、運搬することは容易でなく、口腔内細菌叢と口腔内気体との関係を広く検討することには障害があった。そこで口腔内気体をナノ材料に吸着させれば、保管、運搬を容易にできると着想した。本研究では低濃度の硫黄化合物ガスをパーミエーターを用いて定常的に発生させ、2Lセパラブルフラスコを用いた口腔内類似条件で、設計製作した容器内の吸着材料に吸着、運搬し、ガスクロマトグラフィー測定時に脱着、測定する新規な実験系を開発した。選択した微細繊維を含む数種の材料について、当実験系で効率的な評価を始め、臨床的に応用可能な口腔内気体の採取、測定法開発を目指している。研究協力者:柴谷享一郎氏(元クラレメディカル(株)顧問)
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