研究課題/領域番号 |
17659593
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
伊藤 博夫 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40213079)
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研究分担者 |
山口 泰平 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (80230358)
長田 恵美 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00304816)
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キーワード | 炎症 / 感染症 / 口腔細菌 / ビリダンスレンサ球菌 / DNAマイクロアレイ / トランスクリプトーム / RT-PCR |
研究概要 |
病態の異なる2種の炎症性病変、すなわち膿瘍と潰瘍の形成を方向付ける宿主の因子を探索し、炎症の遷延・慢性化のメカニズムを探ることで、ひいては治癒促進のための手掛かりを得ることが本研究の目的である。健康なヒトの口腔内から分離されたビリダンスレンサ球菌株のStreptococcus aniginosusOH1株とStreptococcus parasanguinisAB株の1x10^8cfuをマウス背部皮下に注入すると、5〜7日後に膿瘍が形成され14〜20日まで維持されたのに対して、S.parasanguinis UL株を同様に注入した時には3〜5日後に潰瘍が形成され7〜10日で瘢痕治癒した。膿瘍組織、潰瘍組織を含む周辺組織、および正常背部皮膚組織よりpolyA-mRNAを抽出し、マウスcDNAマイクロアレイを用いて発現されている遺伝子の違いを解析した。その結果、正常組織では殆ど発現せず両方の炎症組織に共通して発現する遺伝子が6、膿瘍だけで発現している遺伝子が6、潰瘍だけで発現するもの2が見出された。また、正常組織では発現しているが、炎症状態で発現が低下する遺伝子が2種同定された。片方の病変でだけ発現が低下し、もう片方の病変では発現が維持されるという明確なパターンを示す遺伝子の存在は見られなかったが、膿瘍の方では比較的維持されているように見える2種と潰瘍の方で維持されている1種の遺伝子を見出した。DNAマイクロアレイによって示唆されたこれらの遺伝子発現パターンは、別の方法論で確認される必要がある。そこで次いで、定量的逆転写PCRを実施することとし、ヒトゲノム情報に在る当該遺伝子のシーケンス情報から、15種の遺伝子について特異的PCRプライマーを設計・合成した。プライマーの設計の妥当性を、定性的PCRによって遺伝子産物の増幅を確認した。以上の結果から、膿瘍と潰瘍の形成を方向付ける遺伝子の候補を同定し、次年度の定量的逆転写PCRによる解析のための準備が整った。
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