研究概要 |
2型糖尿病を自然発症するOLETFラットと正常対照としてLETOラットを用い,OLETFラット群,OLETFラット・コレステロール食群,LETOラット群およびLETOラット・コレステロール食群の4群に分けた。30週齢および40週齢に被験ラットの体重測定,血糖値の測定および心臓採血を行った後,顎骨および胸部大動脈を採取し,10%中性緩衝ホルマリン液にて浸漬固定した。採取した血液は血清分離し,総コレステロール,HDLコレステロール,LDLコレステロール,トリグリセリドおよび遊離脂肪酸を測定した。ラット顎骨はX線画像計測システムMIF-100(日立メディコ社)を用いて臼歯部のCT画像を撮影した後,4週間脱灰し,通法に従いパラフィン切片を作製した。また,非脱灰の胸部大動脈を同様にパラフィン切片を作製した。組織切片はヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を行い,また抗オステオポンチン(OPN)抗体による免疫染色も行った。 30週齢のラット空腹時血糖値を調べた結果,OLETFラットに糖尿病の発症が確認された。30週齢では正常対照群に比較してOLETFラットの歯髄中に石灰化物の存在が認められ,歯根部の象牙前質の肥厚も認められた。一方,OPNの発現では正常対照群との問に著明な差は認められなかった。40週齢においては,両コレステロール食群に脂肪肝が認められ,特にOLETFラット・コレステロール食群では血中総コレステロールおよびLDLコレステロールの著明な上昇が認められた。40週齢OLETFラットでも歯髄中に石灰化物の存在が認められ,歯根部の象牙前質の肥厚も増加していた。さらに40週齢OLETFラットでは歯根部において著しいOPNの発現が認められた。以上より,2型糖尿病ラットにおいて歯髄中の石灰化物形成と歯根部の象牙前質の肥厚が亢進することが本実験から明らかとなった。
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