今年度は関葉系幹細胞(MSC)をFGF添加のDMEM培地(FBS+、ペニスト+)で培養を行なった。また通常の維持培養に加え骨分化誘導培地にて培養を行った。通常の維持培地は60mm dishにDMEM4ml、FGF3ng/ml、100mm dishにDMEM9ml、FGF3ng/mlを添加し、コンフルになった幹細胞を骨形成誘導培地にて骨芽細胞への分化誘導に使用した。骨形成誘導培地は基本培地のDMEM(FBS+、ペニスト+)に3ng/mlFGF、10^<-7>Mデキサメタゾン、10mMグリセロリン酸、50μg/mlアスコルビン酸を添加した基本的な骨分化誘導培地に加え、基本維持培地にキトサンモノマー、キトサンオリゴマー、SK-2、キトサンポリマー、フィッシュコラーゲンをそれぞれ添加した培地を使用した。 各群の最終濃度は0.005%、0.0005%、0.00005%で行なった。培養後10日、15日、20日にアリザリンレッド染色、Ca定量にて骨分化誘導を評価した。基本的な骨分化誘導培地においては10日でアリザリンレッド染色(±)15日(+)20日(+)であったがキトサンモノマー、オリゴマー、SK-2、ポリマー、フィッシュコラーゲン、においては10日、15日、20日いずれも陰性であった。またCa定量に関して基本的な骨分化誘導培地においては15日、20日で有意差が認められたが、その他の骨分化誘導培地において有意差は認められなかった。 今回期待したキトサンによる間葉系幹細胞への積極的な骨芽細胞分化は証明できなかった。逆に、骨形成誘導培地にキトサンモノマーを添加しても、骨芽細胞への分化は阻害されないことも確認できた。したがって、生体材料としてのキトサンをスポンジ等に成形し、MSCの足場として応用することは可能と結論される。
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